不動産

相続土地処分に困ったら

相続した土地が不要な場合に一定の条件を満たせば土地の所有権を国に移転できる制度で、導入を定めた新法が2021年4月に成立した。23年4月27日に施行し、同日から利用希望者の承認申請を受け付ける。政府は空き家や所有者不明土地の増加を抑える対策として位置付ける。

ただし国に引き取ってもらうためには、土地が多くの条件を満たす必要がある。条件は大きく分けて、利用申請時と法務局による審査時の2段階となっている。

申請段階では、条件を満たさないと申請を受け付けない「却下要件」がある。具体的には「建物がある」「担保権などが設定されている」「隣との境界が不明確」といった5つの要件のいずれかに該当すると、受け付け対象外だ。申請が受理されても、審査段階では5つの「不承認要件」がある。「樹木、車両などがある」「隣人とトラブルがある」などのいずれかに当てはまると承認されない。

コスト面も見逃せない。建物があると申請段階で却下されるため、自己負担で解体する必要がある。引き取りが承認されると、申請者は10年分の管理費相当額を国に納付する。市街地で約200平方メートルの宅地なら約80万円が目安という。

まずは、隣人トラブルがあるなら親の代で解決してもらっておくのがもちろんいいが、解決できないのでズルズルと和解できないでいっているケースも少なくない。そこは相続人も協力して今から解決にむけて一緒に動いておくのが得策であろう。親まかせにしないのが自分のためでもある。