時流

飼料3割高、苦境の名古屋コーチン 

長引く新型コロナウイルスの流行に、飼料や燃料の値上がりが重なり中部の農業が揺れている。外食店の仕入れの回復が遅れており、担い手不足に高齢化といった長年の課題も解が見いだせない。

「養鶏すればするほど赤字になる」。悩みはこの2年で3割値上がりした鶏の飼料だ。

餌は主にとうもろこしや大豆、飼料米を混ぜた配合飼料。中国が養豚飼料の輸入を増やしており、海上運賃の値上がり、ウクライナ侵攻を受けた供給の落ち込みや急激な円安も響いている。飼料会社の平均卸売価格は22年4月時点で、ブロイラー用が1トン9万7669円。2年前と比べ4割高い。

愛知県は、秋田県の比内(ひない)地鶏などと並び、日本三大地鶏と言われる名古屋コーチンの一大産地だ。脂が少なく、地面に放して「平飼い」するため筋肉質で歯応えのある食感が特徴だ。

ただ標準的な鶏の約3倍となる約130日をかけて育てるため、餌代はかさむ。主な出荷先は外食店で、客足が落ち込んだまま。「生産過剰の中で値上げすれば、あっという間に他の産地にシェアを奪われる」

市、県をあげて応援していただきたいものである。