時流

保険証「原則廃止」壁高い

政府は6月にまとめた経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、健康保険証を原則廃止すると打ち出している。

保険証機能をマイナンバーカードにひも付けたマイナ保険証に置き換えるのだ。

環境整備として医療機関にマイナ保険証対応を義務付けることを想定するが、医療界には反発もある。マイナカードを持ちたくない患者への配慮も必要になる。

現状はシステム運用を始めている医療機関が約2割しかなく、身近とはいえない。システムの申し込み施設数は6割あるが、この1年間で微増にとどまる。このままでは今年度中に医療機関や薬局への導入をおおむね終わらせるとした政府目標に届かない。

マイナカードの取得義務がないことにも注意が必要である。

すべての人が医療保険に加入する国民皆保険のもとでは、保険証廃止は事実上のカード取得義務化につながる面がある。当面は被保険者が申請すれば保険証は発行される見通しだ。

就職や転職、引っ越し後も同じ保険証を使えるほか、服用している薬や特定健診(メタボ健診)の情報、医療費も記録される。情報はマイナポータルで閲覧可能なほか、医療機関同士でデータを共有し、診療に生かすこともできるがそこまでカード一枚で一元管理する必要があるのだろうか?

システムを導入するために医療費があがっては元も子もない。

システム導入が完了したら公務員を削減するのだろうか?